はじめに

ここ数年、コロナでの在宅勤務推奨の影響もあり、ペットとしての犬や猫を家族に迎える方が増えてきました。それと同時に、保護犬や保護猫の問題にも、注目が集まっています。捨てられたり、飼い主を失ってしまった動物たちは、今も多くの保護施設で新しい家族を待っています。私自身、いつか保護犬や保護猫を家に迎え入れたいと考えている一人として、この現状について少しでも多くの方に知ってもらえたらと思い、この記事を書いています。

日本における保護犬・保護猫の現状

1. 保護動物の数と課題

日本では、年間数万頭の犬や猫が保護されています。2022年度のデータでは、犬が約25,000頭、猫は約80,000頭が保護されました。過去と比べると、保護される数は少しずつ減ってきてはいるものの、まだまだ多くの動物が保護施設に収容されているのが現状です。特に、猫の保護数が高い傾向にあります。

一方で、自治体や動物愛護団体が「殺処分ゼロ」を目指して、譲渡活動を活発に行っています。殺処分の数は減少していますが、すべての動物に新しい家族を見つけるのは簡単ではありません。保護施設のキャパシティが限られていること、里親探しのためのリソースが不足していることなど、多くの課題があります。

2. 里親になるための取り組み

日本では、SNSやマッチングサイトを使って里親を募る取り組みが増えています。また、譲渡会も頻繁に開催されており、自治体や保護団体が力を入れているところです。とはいえ、ペットショップでの購入がまだ一般的で、特定の犬種を求める飼い主も多いため、保護犬・保護猫の里親になるケースはそれほど多くありません。私たちがもう少しだけ、保護動物に目を向けることで、命の選択肢が広がるのかもしれません。

海外の取り組みと日本の比較

アメリカの例

アメリカでは、保護犬や保護猫に関するシステムが非常に発達しています。シェルターは全国に広がっており、オンラインで里親を探すプラットフォームも充実しています。「no-kill shelter(殺処分を行わないシェルター)」の考え方も浸透しており、保護動物に対する社会の意識が高いです。

アメリカでは年間約670万頭の犬猫が保護され、そのうち約350万頭が新しい家族に迎えられています。こういった背景には、動物福祉の法整備の強化や、捨てられた動物に対する罰則の厳格化が挙げられます。日本もこのようなシステムを参考にして、さらに保護活動を強化できる可能性があると感じます。

ヨーロッパの動物福祉

ヨーロッパ、特にドイツやオランダでは、動物福祉が非常に進んでいます。ドイツでは動物保護法がしっかりと機能しており、ペットショップでの販売が制限されています。捨て犬・捨て猫に対する厳しい法的措置が取られているため、保護施設に収容される動物の数自体が少ないのです。

オランダでは「殺処分ゼロ」が国の目標として達成されています。これには避妊・去勢の徹底や、捨て犬・捨て猫に対する法的規制が大きく寄与しています。動物を保護するためのシステムが整っていることで、動物を大切に思う心がより育まれているように感じます。

おわりに

日本でも、少しずつ保護犬や保護猫に対する理解が広がり、殺処分ゼロに向けた取り組みが進んでいます。それでも、まだまだ改善の余地はあり、ペットショップでの購入が主流であることや、里親を探す活動がもっと認知されるべきだと感じます。

私たちができることは、保護動物について少しでも知り、彼らが新しい家族に迎えられるためにどのような選択肢があるのかを考えることです。もし、次にペットを迎えたいと考えた時、ぜひ保護犬や保護猫という選択肢も検討してみてください。家族に迎え入れるその一歩が、1つの命を救うことにつながるかもしれません。

動物たちが、安心して暮らせる場所を見つけることができるように、私たち一人ひとりの意識が変わっていくことを願っています。

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